今日は少し気になっていたフランスのアルコール類広告規制について先日まとめたので、それについてすこし数回に分けてお話します。
目次
- 有名人が酒の宣伝をすること自体がリスクに
- 業界泣かせの広告規制法=エヴァン法
- 矛盾の国フランス
有名人が酒の宣伝をすること自体がリスクに
先日、私の好きなアラフィフの星、ジェニファー・ロペスことJLO(ジェーロー)がインスタを更新したと話題になってました。
内容は彼女がイタリアのカクテルドリンクのコマーシャルのために70年代風のルックで登場したとのこと
Jennifer Lopez on Instagram: “Summer is finally here ☀️ @Delola is the official drink of the summer … so sit back, open a bottle, pour over ice & enjoy! 🩵 XOXO, Lola #DelolaLife 📸 @gregswalesart”
https://www.instagram.com/p/CszlsONPZM2/
日本のマダムフィガロは
ジェニロペ、70年代風の水着とサングラスで登場!|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)1970年代のドルチェヴィータにインスパイアされたジェニファー・ロペスの撮影の様子は、5月29日にInstagramで公開madamefigaro.jp
ジェニロペ、70年代風の水着とサングラスで登場!・・・
ジェニファー・ロペスにとって、夏はすでに到来している。そして、夏といえば、デッキチェア、ノート、サングラス、プール、そして冷たい飲み物。昨年4月に発売した、カクテルの新ブランド「デローラ」のプロモーションのため、歌姫ジェニファー・ロペスは5月29日(月)に自身のInstagramアカウントに投稿した写真で、70年代のトレンドを取り入れた。・・(中略)
この新たなプロジェクトを歓迎する声がある一方、不満の声も聞かれる。最初の投稿には戸惑ったユーザーのコメントが表示されていた。「あなた自身は飲まないのに」とある人は書き込んだ。何より、夫であるベン・アフレックは、アルコール中毒の問題を抱えており、しばしば禁酒の苦労を語っている。「私は(あなたの)この商業的な選択に非常に興味津々です。あなたの新しい夫は過去にアルコールの問題を抱え、禁酒やアルコール産業について公の場で語っている一方、あなたのその選択に本当に興味があります」と別のユーザーは反応した。しかし、少なくとも現時点では、このようなコメントはジェニファー・ロペスに影響を与えていないようだ。
日本語版マダムフィガロ
と、JLOの素敵なインスタを中心に、大部分歓迎気味の声を紹介
一方元記事の本国フランスのマダムフィガロは、、、(写真からして違う)
«Honteux et décevant» : pourquoi Delola, la nouvelle marque de cocktails de Jennifer Lopez, est-elle décriée par les fans ?L’interprète de Jenny from the block vient de se lancer dansmadame.lefigaro.fr
「恥ずかしい、失望した」というファンの声
.…
確かに、アルコールを飲まないと常に約束していたスターにとっては驚くべきことだ。歌手は常に禁欲を主張し、それが彼女の最も効果的な美しさの秘訣であると主張してきた。2016年6月のInStyle誌のインタビューで 、彼女は緑色の野菜と魚のバランスの取れた食事を摂っていると述べ、「喫煙、アルコール、コーヒーは一切飲まない」と説明した。・・・・「私たちがアルコールなしでも人生を楽しむことができることを彼女が示してくれたら、本当にクールだったでしょう」と彼のファンの1人が投稿の下に書いています。さらにこう続けます。「地味な女の子たちはとても熱心で、ブランドを引き継いだでしょうし、目立っていたでしょう。今では、それは単なるセレブリカーのブランドです。
フランス版マダムフィガロ翻訳
と論調がガラリと変わるのがおわかりでしょうか。タイトルからして真逆。これ同じ記者の同じ記事ですよ。(フランスの記事をかなり意訳翻訳している日本のライターさん)
どうしてこんなに違うのでしょうか?
それはその国によってのアルコールとの付き合い方が違うからだと思います。
このようにアルコールが欧州特にフランスでは「特別なもの」「大人なもの」という決してカジュアルでは済まされない雰囲気にあることが確かなのです。
ここまで日本と特に欧州でのアルコールというものの扱いの違いに気づいていただいたでしょうか?
業界泣かせの広告規制法=エヴァン法
もっと続けましょう。少し前ですが、フランスのサッカー選手ポクバがヨーロッパリーグの勝利インタビュー時に、自分の目の前にあったハイネケン(しかもノンアル)のビール瓶を隠したという事件を覚えてらっしゃいますでしょうか?
Paul Pogba HATES Heineken
自分の会見前に、ハイネケンと一緒に画像に映ることを拒否したのです。何故隠したのか?もちろん彼がムスリムであることもあるのですが、それ以上に、スポーツとお酒はカテゴリーが違うという意思表示ですね。あのロナウドが記者会見の席で、コカ・コーラのボトルを隠し「水を飲め」といったのも同じ大会の同じ会場でした。アルコールや砂糖炭酸水の広告には欧米セレブがセンシティブになっていることが伺えます。
たまたまこれはフランスではなかったのですが、フランスではスポーツイベントにアルコール会社が協賛することは禁じられています。2022年東京オリンピックのアサヒビールは堂々と場内販売まで試みていたのに直前に禁止になったことも記憶に新しいですが、この彼の隠すという行動がフランスでは賛否両論「エヴァン法の子どもだ!」と評されたのです。
エヴァン法とはなんでしょうか?
それこそ、フランスで酒造広告業界から恐れられているアルコール広告規制法なのです。
エヴァン法とは1991年に制定されたアルコール及びたばこ広告規制法で、この法律は1976年に制定されたシモーヌベールの人工中絶容認法並のインパクトがあるといわれています。
喫煙とアルコール依存症に対する法律で、1991年以降はタバコやアルコールの直接広告は禁止となりました。もちろんそれ以前も規制はあったのですがアルコール度数によって広告の分類がなされておりました。
制定の背景は?やはりアルコールによる健康被害が統計によりますと20歳から40歳までの死亡原因の25%はお酒によるものとも言われているからです。そして、その法律を決めた議員がエヴァン議員なのでエヴァン法と言われるようになったのです。
矛盾の国フランス
つまり、フランスはワインやスピリッツ類の生産国もあり、輸出により多くの外貨を稼いでいますが実は国内ではエヴァン法が1991年から施行され青少年の飲酒についてはかなりセンシティブな政策が取られているなんとも矛盾の国なのです。
ですから、JLOのカクテルの宣伝にもマダムフィガロの記者はかなり辛辣なことを書きますし、ポクバのハイネケン瓶を隠す事にも「スポンサーに失礼」という論調にはならないのです。
JLOのカクテルの場合はJLOはアメリカ人でインスタは全世界向きですからフランスのエヴァン法には引っかからないと思います。JLOだって法務家をたくさん雇ってるだろうし、問題はないでしょう。ただ、全世界的なNOLO化の時代、また、世界のグルメやお酒の国でのエヴァン法が施行されているということで、フランスではお酒というものはセンシティブにならざるを得ないのです。
ではこの広告規制には規定があるのか?では次回につづきます。