英国の名優2人が、元教皇ベネディクト16世と、現フランシスコ教皇を演じる。
こういう実際の生きている人物を演じるのはなかなか難しいと思うが、二人の会話がこの映画ね。
ただ観客には現実なのかフィクションなのかわからない。こういう物語の作り方はボラットもそうだったけど流行ってるのかなあ。最後の方なんか実際の映像も出てきて、目が悪い人なら何が何かわかんないわよ!それがしかもあの、シティ・オブ・ゴッドの監督が撮ったとなれば。。あのドキドキ感というかリアル感はさすが!
実はこのふたりはフランシスコ選出前に会ってはいないそうだが、それを想像して描かれた現代の最高宗教指導者が行ったであろうフィクション映画ね。
物語はベネディクト16世選出コンクラーベから始まる。世界中の枢機卿がバチカンに集められ3度目の選挙後、白い煙がやっと流れる。。
数年後密かに伝統破りの生前辞職を決意したベネディクト16世とアルゼンチンから呼び出した次期教皇であるフランシスと寺院のお庭や寺院の中で座って喋ってるだけなんだけどね。
これは名優でないとできなかったわねー。。あの『日の名残り』の執事。この人へび目。人を裏切りそうなところ。頭では十分理解してるだろうけど情が薄そうなところ。しかも顔似てるし。実際ベネディクト16世は神学博士なんだね。インテリ独特のなんか冷たさってあるのよ。あの理性的なのか、薄情なところをちゃんと演じてるのよ。この名優。さすがよね。
対してラテン好々爺、ジョナサン・プライス。もともとキューピー顔。。情の塊。メイクもしてないのかおじいちゃんのお肌のシミとかがしっかりでてて、アクセントもまるっきりアルゼンチン人になりきってる。そいえばこの人、映画エビータでアルゼンチン独裁者のペロン大統領の役もしてたわよねぇ。悪い役よりも「未来世紀ブラジル」の小役人がぴったり。役柄は枢機卿だから素晴らしいキャリアなんだけど、サッカーが好きで神との対話もサッカーに例えてお説教したり、とりあえずベネディクトとは対照的。
この映画のキモはアルゼンチン暗黒時代のドキュメンタリ風回想録は白黒でわかりやすくそれでもショックな内容を告解で出してきてくれるところ。このあたりも長すぎず、わかりやすく、編集もうまい。
ああゆう時代を生き抜いた人だからこそ彼は人々の叫びに敏感なのだろうね。
フランシスコはこの時代になるべくしてなった教皇。難民に心を痛め、地球環境にも、同性愛にもちゃんと言及してくれた。同性愛をみとめたのってついこないだでしょ?それも全部フランシスコがやったんだよ。またリヨンの大司教のペド事件も、彼はあの大司教の辞職を許さなかった。神に仕えて、罪を認め、罪と生きなさいという厳しいメッセージだったのだろうね。
そういう意味で、フランシスコのプロモ映画とも言えるけど。あくまでもフィクション。。そうやって見ないとなんか危険な香りもする。。。ロケも素晴らしく見たことないようなところいっぱいでるので感動。ガンドルフォ城までヘリ送迎なのね、しかもイタリア製のヘリだし。。。ベサメ・ムーチョ、ジャズの使い方も泣かせる。最後のワールドカップ決勝がドイツVSアルゼンチンっていうのも偶然ながらもピッタリの設定。