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『Hors Normes』スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話

Aquaboulevard Gaument で鑑賞。

どうしましょう。私もう映画見て最近泣いてばかりいます。これもすごい映画。ヴァンサン・カッセルっていうと、モニカ・ベルッチの元夫とか、美女と野獣の野獣とか、オランジーナのフランス人ぐらいしかイメージのなかったんですが。。。彼の新作、そして『最強のふたり』の監督といえば、また泣き笑いのヒューマニティ?。。。

いえいえ今回は自閉症(10代から就業年ぐらいまで)の施設の現状を描くという。。ま、パッと見もしかして「重い?」なんですが、重いです。ほんとに。しかしこの邦題はいけません。お笑いじゃないですからね。それだけはよろしくお願いいたします。

ものがたりは、毎日忙しいこの自閉症の子どもたちを預かるデイケアNGOに、ある日国の監査がはいるのですが、監査官たちが自閉症の子の母、重症の自閉症の病院の病棟長、などのインタビューによってこの映画が進んでいきます。とはいえこれは本当に話なのです。

ブルノ(ヴァンサン・カッセルいつもキパをかぶってるユダヤ人)は自閉症のデイケアを担当、そして、もうひとりのマレック(レダ・カテブ・イスラム教徒)のはその子どもたちを世話する郊外の若者たちをまとめて教育してまともなエデュケーターとして育てる役といっていいでしょう。このふたりの組織がくっついて子どもたちのデイケアになっており、一見とてもうまく回ってるように見えるのですが、それが基準外なのです。。。というのもエデュケーター全員がもともとだいたい郊外のドロップアウトの若者なんで、資格なし、遅刻はする、約束守れない、すぐ諦める、長いフレーズが作れないから始まります。そして借りてるデイケアの場所も狭い場所に子供を詰め込んでるや音を出すのでで近所から苦情が来る。。あきらかに規則をまもってない。基準外です。ブルノは小児自閉症病棟や親たちからの電話がたえない。仕事の鬼。そしてひとりずつ丁寧に答えるので女性を紹介してもらっても全然デートに進めない(これはヴァンサン・カッセルらしくない。郊外のワルたちを丁寧にいちから人間扱いし、話しをし、責任感の持つ子に育てるマレックの兄貴っぷりはさすが。スケートにも連れていきその自閉症児だけではなく名もないエデュケーターたちも育てていく。

この映画の良さは徹底的に障害者に対する「かわいそう」がないこと。お涙ちょうだいをいっさい突き放しています。この表現の潔さが監督の言いたいことなんだなと思いました。障害者映画ってだいたい24時間テレビ的なエッセンス必ず入るのですが、まったくないです。「最強のふたり」はその問題を飛び越えた富豪という設定でしたがこれは普通の障害児たち。補助金を切られる危機に瀕しているのもこの映画に緊張感を与えます。ただ、普通の人間として、そのまま。淡々と、ドキュメンタリーのような映画。人間愛って言うと恥ずかしいけど、ほんとに人間ってこんなことするんだよ。と描いてくれてほろっと涙が出る。

実際の問題として、知的障害の子どもたちの就職は問題。そして映画のセリフでもあった「私がいなくなったあと、この子はどうなるの?」という親御さんの心配はほんとうに悲痛。

これは実際に19区にあるNGOの話ですがほんの数キロ先には金融の街ラ・デファンスがあり、花の都パリの象徴である凱旋門があります。華やかな影にこういうところもある。同じパリ。重いけど感動した。ハリウッドスターのヴァンサン・カッセルがこの映画に出てくれたことに本当に意味があると思いました。だって見に行くもん。

そして素晴らしいことに、映画館で上映後に拍手が起こったという奇跡がありました。本当にこういう映画はたまに見ないといけません。地味ですが素晴らしい映画でした。

https://www.lci.fr/psycho/un-petit-miracle-le-film-hors-normes-peut-il-faire-changer-le-regard-sur-l-autisme-2136454.html

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