あなたが現在見ているのは イラン映画─『Un simple accident(一つの事故)』(パルム・ドール受賞作)の突き放し感

イラン映画─『Un simple accident(一つの事故)』(パルム・ドール受賞作)の突き放し感

今晩ふと見てしまった映画のことを書かずにはいられなくて。

タイトルは Un simple accident(邦題なし、イラン映画)。「一つの事故」というシンプルすぎるタイトルなのに、観終わったあとに重い石がのどの奥に残るような感じ。えええ?この終わり方で終わりますか?という突き放しますね。観客を。

あらすじをざっくりいうと——犬に車がぶつかって近所の工場みたいなところに助けに求めにくある男からはじまる・・・ま、どこにでも起こりうる「ありふれた出来事」が引き起こす、ある男の人生の家族の崩壊と再生なのか、もう一回崩壊なのかわからない話です。イランの地方都市、砂埃っぽい街角、薄暗い室内やヴァントラックの中。特別な演出はなにもない。でもそこに人間のやらかしや後悔や、「なかったことにしたい」という感情がじんわり積み重なっていって、気がついたら字幕を追っていました・・・最初あれ?ほんとにこれ?もしかしてコメディ?なの。。みたいなノリではじまってしまうのですが、、最後の15分で震えるのです。すごいから。イランの市民たちがどれだけ、苦しんできたのか・・・少しそして現在も進行中のこのイラン情勢に私たちは想像力しか働かせられない。そして、ガソリンの価格を見て彼らについてしか思いを馳せられない自分の狭い世界に戻っていくのですね。

シリア、イラン、そしてイスラエル、ロシア、アメリカ、、、なぜこんなになってしまったのか。子供に罪はない。しかしあんな子供さえ殺してしまったイスラエル。彼らの非道さよ。

臭いものに蓋をしておくべきか、あの音。最初はわからなかったけど最後にはあの音が彼にとってどういう音だったのかがわかる。

これって、2025年のカンヌ映画祭とったらしいですけど。美しいけど重い、いんです。監督はカンヌ、ベネチア、ベルリン映画祭を制覇したというJafar Panahi『タクシー』では運転手もやってましたね。

イラン映画ってそもそも何が面白いかというと、「起承転結」が日本的でないこと。ハリウッドのようにカタルシスで終わらせてくれない。結末が解決しないまま終わる。でもそのモヤモヤがなんですよね。

数少ない私の鑑賞歴でファルハーディーぐらいしかイランの監督知らないのですが、(キアロスタミみなきゃ)、、独特のやわらかい空間に、道徳的なジレンマには見えたり見えなかったり、そっと置いていく。そのお行儀の良さが逆に怖い。え?次どうなるの?っていう感じ。

こういう単館系映画を見られるところもパリでも減ってきて・・しかしまだまだ他の都市と比べるとたくさんある方ですが。。。私は恥ずかしながらストリーミングで拝見しました。

みなさんももしイラン映画に触れたことがなければ、今がチャンスですよ。Netflixにも一部ありますし。

あと今日は何日かぶりに太陽を見ました。だんだんだんだん春めいていますね。

https://www.festival-cannes.com/mediatheque/ceremonie-du-palmares-du-78e-festival-de-cannes

Video: TV Festival de Cannes Official – 78th Ceremony Highlights