ケルンのアヌーガのスタンドに立ってきました!
ケルンで開催された Anuga 2025(アヌーガ)。毎年ではなく2年に一度のドイツで行われる食の祭典。売りたい人と、買いたい人が行き交うまるで見たことないけどシルクロード交易?のお祭り。御存知の通り、世界最大の食品見本市で、今年も8,000社以上が出展(110か国超)、すごいっ!私、これだけの沢山の人をみたのはパリオリンピック以来。伏見稲荷より人多い!(比較が変ですみません)来場者は145,000人(190か国以上)にのぼりました。
会場面積は約29万㎡(東京ドーム6個分といいますが京都人的には京都御所の2.6倍..変態的に大きいでしょ?)まぁそこで世界中の食の仕事の人達が商談成立をめざしてがんばってるのですよ。。フランスのSIALと比べるとBtoB色が強く結構みなさん即商談に入るのが特徴的。フランスのそれはやはりショー的な要素が強く、コンテストやマスコミなどが多いのですがこちらは「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」的な仕事目的でいらっしゃる方が多いので本当にいろいろな意味で刺激になりました。
ちょっとここでケルンって?Cologne(コローニュ)ってフランス語で言うのですが、あのオーデコロンの由来であの4711の生まれた土地でもあるのですね。。実は今回初めてICE定期(ドイツの新幹線)も購入し張り切ってまいりました。
それでもこの巨大な場では、世界の「食ビジネスの現在地」が一目で見える。
まさに現代の食の交易場?でした。とにかくホテルもやたら高くて、普段60€ぐらいのところもこの会期だけは300€に爆値上がりしており、私達は諦めて、フランクフルトのホテルから、毎日ICEに乗って通ってきました。
(今回私は見に行ったのではなく支援企業の応援ブースでもちろん商談獲得のために動いてました)
🇯🇵 JETRO日本コーナーは“日本村”──懐かしさと課題が共存
今回私の支援企業はJETROブースではなかったのですが、、、じゃじゃん。こういうところでも必ず出展して日本をアピールしてくれるのが日本貿易振興機構!JETROの日本コーナーは、FineFoodsのエスニックコーナーで統一感のある大きな場所を中小企業が1つずつ入る町家?スタイル?の和風デザイン。かっこいいです。和です。
地方自治体や輸出振興会や同業者組合?などの出展も多く、お米、お味噌、なども目立ってました。また、各企業がそれぞれの食材や技術をPRしており、見た目には“誇り”と“安心感”があります。さすがジャパン。やるじゃないか。。おにぎりを配ってくださってるだなんて、、嬉しすぎる何度でも通るわ。。
本当にこういうところに一企業の力では出られない地方の企業様をこうやって連れてきてくださるJETROさんは素晴らしい。でももったいないこともたくさんあったのであえてここではそっちを書きたいと思います。
輸入コンサルの目線から見ると、いくつかの“もったいなさ”というか、毎回のことですが、、
🔹 1. 素材の良さだけでは伝わらない
多くのブースが、「素材」をそのまま並べてたり、商品がなにかもわからないのに。。あれれ?と思うことが多かったです。
でも、海外のバイヤーはどう使うか”が見えなければ興味を持ちにくい。ということをどうして理解してくいただけないのでしょうか?オタフクソースは別として、、(日本のそのままを使えとバイヤーに押し付けるような高慢さはいりません)
出汁を売りたいなら、「リゾット」「ポタージュ」「パスタソース」での活用例を見せたり
味噌を売りたいなら、「ビーガン料理」「ハラル」「ドレッシング」の応用を見せる。→とかですね。
素材ではなく使い方の翻訳がまだまだ足りない気がしました。勿論オーセンティック差を求めてくる人もいるのであまりにも現地対応しすぎるのもがっかりされてしまうかもしれませんが、想像力をもっとと思いました。まぁ、もうこれずっと言ってることですけどね。
🔹 2. 包装が古い——“過保護包装”からの脱却を
プラスチック包装の多さは正直気になりました。ヨーロッパ市場では、(決して日本人ほど分別とかちゃんとしない割に)脱プラ・サステナブル包装が当たり前。紙ベース、詰め替え式、ガラス容器が基本。それに比べ、日本の包装は「清潔」「丁寧」「美意識」が先行し、エコ感が伝わらないのが現実。日本人の知恵で、長い運送にも耐えうる強さでエコででも美しく人の目に止まりやすいので、どこかで中身を見せたり、どこかで工夫すればいいのになぁ。みたいな、、そういうパッケージングも必要ではと色々見て思いました。。
🔹 3. 「輸入費を払ってでも欲しい」理由をもっとアピールできるはず
毎回こういう機会で思うのですが、、、職人さんの仕事は素晴らしい、健康にも良い、すばらし、、でもそれをライフスタイルの違う日本のものをしかもプレミアム価格で購入する理由をどうやって納得させるか?ということにみなさんは努力を払われてない気がします。“日本だから”ではなく、“あなたの商品でしか解決できない何か”を見せること。単なる「高品質」では、バイヤーの触感は動きません。(勿論バイヤーさんもバイヤーさんの条件に寄って違いますけど、やはりもうすでに先駆者がいる市場にどうやって入るのかなどはほんとうに品質だけでは無理です。別の理由付けもないとアピール不可能です。じゃ~、それは何だろう?一緒に考えましょう。
他国は“現地化提案”の先を行ってる・・・
周りのブースを見ていると、世界各国が明確に“ローカライズ戦略”を取っています。….
- 🇰🇷 韓国勢はキムチやインスタントラーメンでさえを「ビーガン発酵食品」「コーシャ」「ハラル」として欧州式に再定義。今のNetflixでのシーンもあり、チャミスルから韓国麺からすごいことになっていました。
- 🇹🇷 トルコのツナ缶屋さんが冷凍寿司を展開したりして、、なるほど。。
つまり、どの国も「現地の食卓に入る」工夫ををおしまずにしているということ。特に韓国は最初からHaccpの工場設立を日本の前にやってましたのでそういう意識は高いです。日本もっと頑張ってほしいです。ただ勿論日本の企業様の中にも素晴らしい対応をなさってるところもたくさんありました。皆さん手探りで試行錯誤を重ね、輸出に燃えてらっしゃる姿を本当に応援しております。
日本食材は、“素材輸出”から“使い方輸出”へ
私自身、フランスで日本食材の輸入・販促を支援していますが、
いま求められているのは「素材そのもの」ではなく「体験」であり、それをもって「話したい」とか、よくゆう承認欲求が満たされることまで続いてると思っています。
出汁は“日本の旨味”を伝えるより、“現地のスープを変える力”を見せる。
たとえば日本酒は“伝統”も大事ですが、カクテルに使える楽しさ”を提案する。Umami食材との組み合わせなど
“Authenticity(本物感)”と“Adaptability(現地対応力)”のバランス。ほんとこれが一番大事で、たとえばパッケージングにもその会社のメッセージや美的センスも込めて。。ほんとうに売るための努力って、すごい大変です。ひとりよがりだけでは売れないです。お客様と勝手にしてくれるような商品であることもとても大事。
この2つの軸で考えられる企業が、今後の輸出で成功していくと思います。出展者にとって、Anuga参加は決して安くない投資です。出展料、(たとえJETRO割引があったとしても)輸送費、宿泊費を含めれば、1社あたり数十万円〜百万円規模。その努力に見合うだけの反応を得るためにはまだまだ努力が必要ではと思います。
まとめ
正直言えば、Anugaの会場で感じたのは「まだまだ相手を想像できていない」ということ。独りよがり感があります。一昔前の日本人はとても自信がなかった。でも、今は何故か自信に溢れてる。それはとてもいいことだと思います。でもその自信も相手に理解されないと滑稽です。体に良いものや、材料のいいものを丁寧に作って、それをそのまま持ってくる。。それだけではやはり無理です。
相手が何を求めてるか?それは全部違うかもしれないけど、もっと想像力を働かせて。勿論そのためのお手伝いや文化の翻訳をするのが私の仕事。課題は多いなとまだまだ感じました。
本物感は十分。モノは良いんです。モノは通じます。でもモノだけなら喋りません。そのモノにどう語らせるか。あとは、相手のキッチンに届くまでの想像力。それさえあれば、日本の食材はもっと輝くんじゃないかと本気で思いました。
(…Anuga会場を2万歩歩いて、クタクタ。笑)ケルンのビールで乾杯🍺ああ、と思ったらもう、なぜか季節の変わり目。美味しかったけど酔い過ぎて。。もうやめま….
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