先日、フランスでアルコールを販売・提供するための必須研修「Permis d’exploitation(酒類+飲食販売許可証)」を講習について書きましたが、これはカフェやレストランを経営する人だけでなく、日本酒を扱う私たちにとっても欠かせない知識がたくさん詰まっていて、とても興味深いものでした。今日はその中から 「日本酒に関わる部分」 と 「日本の法律との違い」 にフォーカスしてまとめてみます。JETROが出している資料からはアップデートもされているのでどうぞ興味のある方は最後までゆっくりお読みくださいね。
フランスで飲食店を始めるなら必須となる「Permis d’exploitation」。20時間の研修で何を学ぶのか、酒類ライセンスとの関係、日本との制度の違いをわかりやすくまとめた実践的ガイドです。
フランスのアルコール分類と日本酒の立ち位置
まずグループです
| グループ | 内容 | |
|---|---|---|
| グループ1 | ノンアルソフト全般 | |
| グループ3 | ワイン、ビール、シードルなど度数の低いもの(〜18度) | |
| グループ4 | ラム酒やフルーツリキュールなど(発酵酒+蒸留酒の一部) | ラムはフランスの領土産があるので特別扱いです |
| グループ5 | ウォッカ、ウイスキーなどその他の強い酒 +日本酒 | 日本酒(清酒)は「発酵酒」ですが、果物ではなく「穀物」なので法律上は ワインではなく、蒸留酒などと同じ“強い酒”のカテゴリー(Licence IV)に分類 されます。 つまり、フランスは自国産を優遇します。 日本酒は醸造酒ですがワインの延長では売れない ということ。これがまず大きな違いです。 |
レストランならOK、バーはNG?
- レストランライセンス(Licence Restaurant)
→ 料理と一緒なら日本酒を提供可能。 - バーやカフェ(Licence IIIのみの店)
→ 日本酒は扱えない。ワインやビールまでしか提供できません。 - 日本酒バーを開きたい場合
→ 必ず Licence IV が必要。ただしこのLicence IVは新規発行されず、既存店から譲り受けるしかありません。
日本では「飲食店営業許可」を取れば基本的に酒類全般を出せますが、フランスでは「どの種類の酒を扱うか」で免許が細かく分かれているのが大きな違いです。

提供ルールの違い
研修では、フランスと日本の制度の違いも見えてきました。
- 飲酒年齢
- フランス:18歳以上
- 日本:20歳以上
- 水の提供
- フランス:飲食店は「水を無料で提供する義務」あり
- 日本:法律では義務なし(慣習的に出すだけ)
- Happy Hour
- フランス:事前届出と掲示が必要でノンアルコールも5種以上ださなくてはいけない・基本的にお酒の飲み放題は禁止
- 日本:自由に設定可能
- 広告規制(Loi Evin)
- フランス:アルコール広告は厳格に制限。文化・食事との関連でしか宣伝できない
- 日本:比較的自由に宣伝可能
日本酒を扱うときの実務ポイント
- 店舗が Licence IV か Licence Restaurant を持っているか必ず確認すること。
- 輸入した日本酒には フランス用の裏ラベル(原産国・アルコール度数・妊婦注意) を貼る必要がある。
- 展示会や試飲会では 臨時許可(dérogation) が必要な場合がある→これは主催者や市へ問い合わせること
- とにかく、日本のように「日本酒=ワイン文化に近い」扱いではなく、フランスでは“強い酒”として法律で管理されている という点を忘れないこと。もちろんこれは自国のワインを保護する意味なのでしょう。
まとめ
今回の研修で一番印象に残ったのは、フランスにおける「お酒を売る責任」の重さです。というかやはり保健省の講習なので酔っ払いになると医療費も高くなるし困るのは国です。
何度も言いますが、皆様にお伝えしたいことは日本酒をフランスで広めたいなら、美味しさや文化を伝えるだけでなく、こうした法律的な違いをしっかり理解していないと大きなリスクになります。たとえ、バーをしなくても、こういう法律の下で飲食店がまわってるんだなということだけでも覚えてくださると幸いです。
これらを踏まえて、日本酒がフランスの食卓にもっと自然に溶け込む日を目指していきたいと思います。
これ現在出てる中で一番新しい 2016年のですが。。
フランスへの日本酒の輸出ガイドブック
そろそろアップデートが必要ですね。

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