本当に怒涛だったんだけどやったー。足を運んできました。Wine Paris 2025。。いやVinexpoと今は言わないんですねー。。。
さてさてヴィネクスポ (Vinexpo) は、1981年からボルドーで開催されてたワイン&スピリッツの国際見本市。それが2020年からはパリに引っ越し。コメクスポジウム社主催のワイン国際見本市「ワイン・パリ(WINE PARIS)」と名前を改め、毎年2月に開かれています。ま、要するに世界最大のワインスピリッツ関係者の展示会ですね。今年は2月10-11-12日に開かれました!
天気悪かったけどねー。昨年に続き、今年もさまざまなトレンドや課題が浮かび上がりました。
やはり、小麦とワインはフランス人にとっての日本人のお米と同じ。こちらの展示会もマクロン大統領直下の展示会と謳っておりました。つまり、悩める農業国フランス国の象徴でもあること。
では、2025年のParis Wineではどのような変化が見られたのでしょうか。正直私は知り合いや興味のあるブースを10箇所ぐらい訪れた感想です。
2025年の注目ポイント
1. NOLO(ノンアル・ローアル)はこれからもっといくよ!
昨年に引き続き、NOLO市場が拡大。NOLOって何?っていう人のために。。
欧米では「ノーロー(nolo)」や「ゼブラ・ストライピング(Zebra striping)」といったお酒にまつわる用語が、アルコール飲料市場の注目ワードとなっている。前者は、ノンアルコール飲料と低アルコール飲料の頭文字を取った造語で、後者は飲酒中に水やノンアルコール飲料を挟んで酔い方をコントロールする習慣。いずれも「飲みたいけど、酔いたくない」という近年のトレンドを反映したもので、背景には消費者のライフスタイルの変化や、企業やスタートアップの投資拡大に伴う味と品質の向上などがある。
特に、ワイン業界からも低アルコールワインやノンアルコールワインの新商品が多く出展されていました。ワインだけでなく、スピリッツ業界でもノンアルコールジンやカクテルベースが増加。あの有名なテタンジェさんがやりだしたフレンチブルームもいまやLVMHで。私ね、もう思ってるの。これはもうパッと出のトレンドではなくカテゴリー化になるものと思われます。赤白ロゼ泡そしてノンアルみたいな。。2025年の時点でノンアルにシフトしてないともうやばいぐらいの勢いでした。



2. 中国人バイヤーの減少
コロナ以降本当に見ない中国人バイヤーですが、今年はもっとその存在感が大きく薄れていました。フランスワインの輸出市場として中国は大きな割合を占めていたのに。いろいろ心配です。その割には中国→輸出の広告だけはガッツリ出しておられました。
3.フランスの中心主義が顕著に(毎年だけど)
この展示会と、今月末の農業祭はフランス万歳の展示会として有名で、俺たち最高!おれたちのフランス!が強調される事が多いので有名ですが。。もちろん今回もでした。

これいいたくないんですが、歴史的に味の基準、、つまり、どれが美味しいか、どれがいいワインなのかという基準、、もうすごいことだけど、最初に「こういうのがワインの理想だ」っていい出したのって、フランスのだと思うのですよ。AOPの考えとか、グラン・クリュとかシャシャシャーと作って、商売初めて、そこから始まって、ワインの味やレストランなどのプレゼンも基準で世界中に広がってると思うのですよ。
正直それって私達の昭和までは通じたけど、今はフランスの経済力影響力も踏まえて、でもでもそれでも今でもオートガストロノミーの世界ではフランス絶対主義ってまだ生きてると思うのですよ。。まぁ鼻につきますが、それがまた
フランス産ワインの価値を改めて強調するようなブースが多く、うまいなあと思いました。隣国イタリアがイタリア館を建てて頑張ってたのも目立ちましたが、フランス館は本気でした。デザインがカッコイイし、何を訴えたいかがすぐわかるこのデザイン力。あとやはり地方ごとに分けることに一応の平等性を保ってるのかと思ったり。。


4. スピリッツ市場の盛り上がり
ワインだけでなく、スピリッツの存在感が非常に大きくなっていました。特にクラフトスピリッツやカクテルベースの出展が目立ち、ウイスキー、ジン、ラムなどのブランディングが強化されていました。とりあえずスタイリッシュだもんね。醸造じゃないです。蒸留です。飲酒スタイルの変化も影響している可能性が高く、特に若年層へのアプローチとしてスピリッツが一つの選択肢になっていると感じました。正直言って、ワインっておじいちゃんおばあちゃんなんですよ。売ってる人も、ダサい。背広着て売ってたりした、ダサいのよ。

蒸留はナウな俺等世代。腕にタトゥーしてシェイクしてるバーテンダーがかっこいい。。こっちの価値観ね。実際ですね。

5. JSS頑張ってたけど。。焼酎でした。。日本酒じゃなかった。

JSSとは(JSS) Japan Sake & Shochu Makers Association つまり日本酒造中央会。。。コロナ前と比べて日本酒の出展はほぼ見られず、あったとしてもJETROや国税ではなく個人で出ておられました。さすがのFoodexさん、あとチラチラウイスキーはでてたように思いますが。出てたのは焼酎泡盛でした。こちらはもう数年おでになってるから、さすがよ。頑張ってるわよ。もうすぐ日本酒追い抜かしますと仰ってるからね。

ざっくりゆうと欧州市場における日本酒の立ち位置を再考する時期に来ているのかもしれませんが色々考えさせられました。
これからの課題
1. 人々は今後もお酒を飲むのか?
そりゃ飲み続けるでしょう。もちろん!何回もいいますが、これ本当に私にとってとても大きな問いなので書かせていただきます。ノンアルコール市場の拡大や健康志向の高まりにより、そもそも70年間、アルコール消費は減ってきているのです。今後アルコールを飲む層がもっと減少していくのではないか、という仮説というかこの現実。昔のようにすぐ一升瓶を持っていった時代はもう来ないです。

こちらの調査によると、もうすでに28%のフランス人がNOLO消費の経験があるということ。すでに41%の26-35歳、52%のカクテルの好きな人、35%のワインをよく買う人達はNOLOの経験あり、もう抵抗なしな人が多くなっています。そしてやはり一番最初に経験するのがアルコールフリービールでしょうか。それあらカクテルや蒸留酒ワインへのNOLOへシフトしていくようです。
2.アメリカどないよ?
トランプ政権の影響や関税問題など、フランス産ワインのアメリカ市場への輸出が今後どうなるかが不透明です。例えば特にプロヴァンスのロゼワインなどは米国市場はフランスワインにとって重要な販路であるため、色々心配です。お金のあるところに高いフランスワインは流れますものね。
3. ワイン(アルコール)を飲む層の高齢化
ワイン市場全体として、高齢者層の比率が高まっている印象を受けました。特に伝統的なワイン消費者は年齢が上がり、若年層の獲得が課題となっています。もちろん若者はNOLOに行くわけで。。でも考えてみてください。ワインって本当にすぐ作れないのですよ。畑があり畑に植え、育て、収穫し、ワインを作り、熟成し、完成。そんな長期の産物なのに、消費者が「アルコール?だっさー」っていいだしたからってワイン造りをすぐ畳んで商売がえってできないじゃん。ほんとうに畑からセットなんですから。醸造だけとか蒸留だけならまだしも、畑からセット。。だからビオディナミという言葉もあり・・・
まとめ
トランプ政権の影響、アルコール離れ、中国市場の変化など、ワイン業界にとって負の要因が多い中でも、各メーカーや出展者は新たな可能性を模索しながら前進していました。
NOLO市場やスピリッツの台頭、フランス産品の再興の兆し(というかもがき)など、業界の変化が加速していることを強く感じたParis Wine 2025でした。それでもどこに行くかは今のところわからないですけどね。。
今後、ワインアルコール業界がどのように進化していくのか、引き続き注視していきたいと思います。