「欧米かよ」というギャグが存在する?ということを最近知ったのですが、欧米とひとくくりいいますが、欧も米もぜんぜん違うし、本当に欧もパッチワークの集まりなのです。欧州は特に多様性の実験場、異なる国々がそれぞれ独自の歴史から文化を持っているので実に一筋縄では行きません。
私は仕事柄、日本から輸出したい人をフランスの現地のBtoBのためのプレマーケティング調査から継続的営業までをするのですが、本当に欧州ってさまざまだなぁ。。と思うことがありましたので一つ事例をあげてみたいと思います。
↓私の活動です(*^^*)
KAIGAI-FRANCE – フランス海外販路開拓kaigai-france.com
目次
- タイ人のほうがドイツ人より上質日本酒を飲んでいる
- お酒は食品よりずっと脳内で楽しむもの
- 欧州は一筋縄ではいかない
タイ人のほうがドイツ人より上質日本酒を飲んでいる
2023年2月に、日本酒造組合中央会よりこんなプレスリリースが出ました。
2022 年度 日本酒輸出実績 金額・数量ともに過去最高を記録! 輸出額は 47 5億円(昨対比: 118.2%118.2%)で 13 年連続前年を上回る!
市場成長が見込まれる東南アジアと欧州に注力
久しぶりに見る右肩上がり線。ひえー、海外で日本酒ブームなんだ!すごいすごいとパッと見そう思いますよね。金額の上昇が大きく数量キロリットルよりも顕著な伸びをしています。
2007年の現状のままだと70億円で1.1万キロリットルとして場合、2022年が474.9億円なのでだいたい7倍近くの7.7万KLになってなければならないのに3.6万KLでとどまっているということは、2007年から比べて金額が上がり、量が減ったということなので非常に良いこと。つまりプレミアム化が進んでいることになります。海外の日本酒のプレミアムのブランド確立ができてきているでしょう。
さぞかし、欧州はプレミアム化なのだろう。。と思われるかもしれません
輸出を牽引するのはやはり中国で高級酒もバンバン売れていますが、2022年でみた時に、香港シンガポールの高級ぶりには届きません。リッターあたりの輸出価格ですからかなり良質で高級なお酒が出てることになります。
欧州国の順番だと
(リッターあたりの円)
英国 1254
フランス 1226
オランダ 724
ドイツ 539 ←タイ626よりも低い。。。
とキロリットルの輸出の英国フランスとドイツが倍の違いがあるのです。つまりこの順に上等の日本酒を飲んでるわけですね。。。
つまり、英国フランスの売れ筋とドイツそれは全く別物。。ということがこの資料で読み取れるのです。
つまりここで自分が目指したい市場がもうすでに飽和状態になっているのか?それともまだまだチャンスがあるのか。どのような商品を売るべきなのか?の参考になります。
お酒は食品よりずっと脳内で楽しむもの
私は30年近く日本でワインをフランスでは日本酒の普及の仕事をしてきましたが、痛切に感じることはお酒というものは単に味が良いだけでは選ばれないということです。ましてや健康になるわけでもないですからね。この時代。。
お酒やアルコールは食品よりもブランドやコンセプトが選択に大きな影響を与えます。消費者は単に飲み物としての品質だけでなく、ブランドのイメージやコンセプトに魅了されます。ブランドの歴史や伝統、製造方法、地域の特徴などが重要な要素となります。また、コンセプトには個性や価値観が反映され、消費者のライフスタイルや好みに合致するかどうかが決定的要素となります。これは食品よりもずっと顕著なのです。
かといってコンセプトバカになってはいけません。リアルな実績や卸や小売との付き合い、適切な価格、このような複数エレメントが繋がり販売やファンの出現へと導かれます。
欧州は一筋縄ではいかない
リッター価格の日本酒の輸出国別比較に見るように欧州市場での戦略は、「欧米かよ」だけでは通じません。
欧州も一つではなく国別や国内の流通状況を個別に分析し、考慮する必要があります。欧州は国々や地域ごとに異なる文化、法律、消費習慣が存在し、さらに流通チャネルも異なるため、統一的なアプローチでは不十分です。多くの場合ドイツや英国に本社を置かれている会社の場合はフランスのことはご存知ないし、逆もしかりです。
各国の市場特性や競合状況を詳細に調査し、現地の消費者嗜好や需要を理解することが本当に重要です。また、最近ことに思うのが物流や販売チャネルですね。ほんと。とくに南仏などではそれを痛切に感じました。パリ以外のロジは本当に大事です。またこのあたりも徐々に書いていきますね。