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フランス郊外版『レ・ミゼラブル2019』

あたしは。。これはあまり好きにはなれなかったの。今やアナ雪2を抜く勢いですごい人が入ってる映画『レ・ミゼラブル』

ジョーカーもきつかったけど、これもきついわー。これはジョーカーみたいな芸達者な役者が演じたんじゃなくて、普通にそのへんの子(多分無名の子役)が演じてるから余計にきついわ。

花の都パリ、恋の都パリをバッサリ斬ってくれるからね。 ミュゼットが流れ、ベレー帽もバゲットもピエール・エルメもなんもないからね。

あるのはジアディスト準備軍がたまってそうないそうなケバブやしかねーよみたいなパリ郊外ね。いわゆるBanlieue。(かならずRERの無賃乗車とセット)冒頭は2018年のパリのワールドカップ優勝の歓喜シーンから始まる。あの瞬間だけがフランスが幸せだったのかも。キリアン・エムバッペは皆が認めるヒーロー。

その他は全て何かに属しているから何かの味方であり何かの敵かもしれない。

美しすぎるパリがあるからこそ捨てられたパリもある。それを認識しなきゃだめ。美しすぎるパリもリアル。でもここもリアルなの。両方がリアルなの。どっちかだけ見てたらちゃんと見えないの。

ここは人種も違うし社会階層がちがう。すべてが違う。まるで違う国みたい。でもこんな国国連にもどこにも登録してない。どこにもないんだよ。アフリカでもヨーロッパでもない。近未来の国だよね。ほんと。

このレ・ミゼラブルのビクトル・ユーゴーの本作の舞台がこの街だとはしらなかった。嘘でしょ!あまりにもそのまますぎる。あの頃から荒れてたのかよ。。とも思うけど。あの時代だってコレットがパリに出ていくのはこんな気持だったのかと思う。違う国に行くみたいな・・・・両方リアルなのに。

さて、この映画。

郊外の彼らの生活。

産まれたときから、すでに決まっている。教育から、家庭環境から。県番号93。フランス語読みだとキャトルヴァントレーズと言えない人たち。ヌフトワと呼ばれるこの県はあのエムバペの出身県でもある。(シテのボスのTシャツ番号、プリントは93県の市長ってかいてあった)

ただ、フランスにはああゆう地域の学校や地域の子には優先的にいろいろなチャンスを人工的に与えている政策があるのは確かだが、家庭内で培われたり、子供同士でも交わされる文化蓄積が市内や普通のところと全く違うのは否めない。

文化の断絶。。

まぁ、こんな強面のちゃんとした熱血警官がいるのなら悪いことも起きないしょうに。。なんてのは甘い。

おおまかなところあの白人刑事の言ってることでかろうじてこの国は回ってるんです。かろうじてでもう限界。バス停でハシを吸ってはいけないし、違法な物を売ってる市場にも定期的に見回りにいかなければならない。

93の普通の子供がジプシーサーカス団のライオンのこどもを盗んでしまうことから事件は勃発する。

正直こんな汚いフランス語は普通の人は話さないが街を歩いてるとこれぐらいならよく聞く。しかし汚い言葉遣いの羅列。

ライオンの子供、ドローン少年。。

ドローンのカメラの引きが素晴らしくきれいに低所得住宅を映し出す。ただこの街からはエッフェル塔はみえない。凱旋門も見えない。のっぺらぼうな団地だけだ。

彼らはパリジャンだが、居場所はパリにはない。

分断が可視化できるよね。

ふとした分別が対立にあり、歯車が狂いだしラストは本当の戦争になる。

ああ、ああ、ああ、
皆さんどう思われます?

どっちが先に撃ったでしょうか。
両方ともやってはいけない所まで来た。

後戻りはできないわよ。あとはあなたが行動してくださいという終わり方。

ここにいる私はいまどういう立ち位置なのか?も深く考えさせられました。日本人であるがゆえに両方の世界からもある意味の疎外感を感じ、でも両方の世界からも受け入れられる。このアンビギュアスでなんなのあたし。

あと「Hors Normes」もこれもそうだけど、協力イル・ド・フランス。動いてるね。

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